バーチャル株主総会とは?開催方法やメリット、注意点を徹底解説!

2020年の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、リモートワークやテレビ会議など、遠隔で業務を行うためのデジタル技術が急激に発展しました。

そんな中、これまでは関係者を召集して行うのが一般的であった株主総会についても、オンラインで開催する「バーチャル株主総会」が注目を集めています。

参加者がわざわざ会場に行く必要がないというだけでなく、主催者側にも会場手配の手間が減るなどのメリットがあります。
一方で、オンラインで株主総会を行うためには、法律に従った手続きや、オンラインならではの注意点もあります。

この記事では、バーチャル株主総会の開催形態の種類から、「バーチャル株主総会」を開催するメリット・手続き、開催時の注意点を詳しく解説します。

株主総会の種類

そもそも株主総会とは、「会社法」という法律によって定められている、株式会社における最上位の意思決定を行う機関のことです。
会社法第296条第1項に以下の記述があります。
定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。

つまり、株式会社は毎年1回以上は株主総会を開催しなければならないのです。
この株主総会の開催方法について、現在では以下の3種類の開催形態が認められています。

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  • リアル株主総会
  • ハイブリッド型株主総会
  • バーチャルオンリー株主総会

それぞれ順に説明します。

 

リアル株主総会

リアル株主総会は、従来の一般的な開催形態の株主総会です。
現実に存在する会場を、主催者となる株式会社が手配・設営し、株主が会場に出席する形式で、執り行われます。

株式会社側も取締役や監査役の方が会場にて参加します。

 

ハイブリッド型バーチャル株主総会

ハイブリッド型バーチャル株主総会は、上述したリアル株主総会を行いながら、オンラインでも他の株主に映像や音声を共有する開催形態です。

ハイブリッド型バーチャル株主総会はコロナ禍で特に注目を集め、日本でも実施する企業は2020年以降増加傾向にあります。
東京証券取引所の2023年3月の調査では、ハイブリッド型バーチャル株主総会は349社で開催を予定しているという結果が出ています。

そんな注目を集めているハイブリッド型バーチャル株主総会ですが、「参加型」と「出席型」の2種類に分類することができます。

ハイブリッド【参加型】バーチャル株主総会

ハイブリッド参加型バーチャル株主総会は、リアルとオンライン同時並行で開催されている株主総会の様子を、確認もしくは傍聴するだけの開催形式です。
会社法に則った「出席」とは認められていないため、審議や決議に参加することはできません。

また、リアルタイムで遠隔にいながら株主総会の様子を確認するためには、株主はインターネット環境を用意しておく必要があります。

ハイブリッド【出席型】バーチャル株主総会

ハイブリッド出席型バーチャル株主総会はオンラインでの参加でも「出席」と認められる開催形式です。
オンライン上で発言や質問もでき、決議に加わることも可能です。

そのため参加型よりも出席する株主が多くなりやすい傾向にありますが、主催する企業側は本人認証などのなりすまし対策が必要になります。

 

バーチャルオンリー型株主総会

リアルな会場での開催をすることなく、オンラインでのみ株主総会を開催する形式です。

2020年の新型コロナウイルス感染症の流行移行に認められ始めた新しい開催形態で、経済産業省の2024年3月31日時点の調査によると、バーチャルオンリー株主総会を開催した会社は64社で、開催数は108回とされています。
また、既に439社がバーチャルオンリーの株主総会開催を可能とするよう、定款変更議案を決議していると発表されており、非常に注目を集めている開催方法であると言えます。

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出典:経済産業省 場所の定めのない株主総会制度説明資料

アメリカでは2000年に初めてバーチャルオンリー型株主総会が認められてから、バーチャルオンリーの開催が増えている傾向にあり、今後は日本でもリアルな会場での開催が減り、オンラインのみでの開催が一般的になるかもしれません。

バーチャル株主総会のメリット

バーチャルオンリー型株主総会は、関係者が離れた場所にいる状態でも株主総会を執り行うことができる以外にも、以下のようなメリットがあげられます。

  • 物理的な会場が不要
  • 出席者の負担軽減
  • 感染予防として有用
  • アーカイブ配信が可能

それぞれ解説します。

物理的な会場が不要

バーチャル株主総会の最大のメリットの一つは、物理的な会場を必要としないことです。

従来のリアル株主総会であれば、出席者の人数によっては大きな会場を手配する必要がある会社も少なくありませんでした。

会場確保にコストや時間がかかる他、事前の会場設営や当日の運営に関する準備など、多くの手間がかかります。
さらに、希望する会場が空いていなかったり、当日の交通状況により会場に辿り着くまでにトラブルが発生する可能性があります。

一方で、バーチャル株主総会では、上記の物理的な会場に関連するコストや手間、リスクを大幅に削減できます。
配信環境やシステムを整備する必要はあるものの、会場設営や運営の手間や交通状況などによるトラブルを回避することができ、会場設営・運営のコストも削減できます。

出席者の負担軽減

バーチャル株主総会には、出席者である株主や企業関係者の負担軽減に繋がるというメリットもあります。

例えば株主の方の中には、会場から離れた場所に住んでいる方もいらっしゃいます。
そうした株主にとって長距離の移動は、時間だけでなく交通費もかかりますし、体調不良などで移動が困難な場合も考えられます。

しかしバーチャル株主総会であれば、インターネット環境さえ整っていれば問題なく参加可能なため、移動の必要がなくなり負担を軽減することができます。

また、会場まで実際に足を運ぶ必要がないというメリットは、主催者側の社長や経営幹部陣にもあてはまります。

このようにバーチャル株主総会は、株主だけでなく企業側の関係者の時間やコストの節約にも繋がるのです。

感染予防として有用

バーチャル株主総会が普及した理由の一つが、感染予防のメリットです。

現在は新型コロナウイルス感染症の流行は落ち着いてきてはいるものの、国民全体で感染予防への理解が深まり、大勢が集まる会場への出席を快く思わない方もいます。
そのような方にとって、オンラインでの株主総会は快適に参加できるツールとなります。

また、今後インフルエンザを含む他の感染症が予期せぬタイミングで流行するかもしれませんが、バーチャル株主総会であれば、感染症対策を行いながら株主総会の開催が可能となります。

このように、参加者にとっても疫病の感染リスクがなく、企業側にとっても予想できない感染症の流行に振り回されるリスクが少ないのです。

アーカイブ配信が可能

バーチャル株主総会では、後日アーカイブ配信することで、自由なタイミングでの視聴が可能です。

オンラインで開催されるバーチャル株主総会は、当然その配信動画を録画しておくことができます。
この録画映像を配信することで、当日参加できなかった株主も株主総会の様子を知ることができます。

さらに、自社のHPなどにアップロードすれば、株主以外の方にも傍聴の機会が与えられ、投資へのきっかけにつながる可能性もあります。

一時停止や早送り再生なども一般的に可能であるため、視聴の自由度は高く、企業側としてもIRのアピールにつながるでしょう。

以上、4つのメリットについて紹介しましたが、他にもバーチャル株主総会には下記のようなメリットもあります。

  • デジタル化のアピールになる
  • リアルよりも参加しやすいため、株主総会の透明性が高くなる

株主の希望や各社のおかれている状況に応じて重視されるメリットは異なるものの、バーチャル株主総会は有用な新しい開催方法と言えるのではないでしょうか。

バーチャル株主総会を開催する時の手続き

オンラインで株主総会を開催しようとするとき、法律上の制限などもあり、いくつかの前提条件や必要な手続きがあります。
オンラインでの株主総会に関わる周囲環境の経緯から説明していきます。

  1. バーチャルオンリー型株主総会は原則認められていない
  2. オンラインで実施できる前提
  3. 必要な手続き

1. バーチャルオンリー型株主総会は原則認められていない

株主総会の目的や開催頻度などは、会社法によって定められていると前項で説明しました。

この会社法が成立された2005年には、そもそもオンラインでの開催は想定されていなかったため、株主総会を招集する場合に定めなければならない事項として、第298条に以下があげられております。

  • 日時および場所

つまり、「場所」がないと株主総会に招集できず、法律違反となってしまうのです。

そのうえで、2022年9月に改正された産業競争力強化法において、会社法の特例制度が創設されました。
この特例は、上述した会社法第298条の「場所」を「場所の定めのない株主総会」と読み替えることができるというものでした。

2024年1月に改訂された「産業競争⼒強化法に基づく 場所の定めのない株主総会」についての制度説明資料は以下リンクからご確認いただけます。
経済産業省の説明資料はこちら>>

このようにバーチャル株主総会は上場企業の中でも、経済産業⼤⾂及び法務⼤⾂の確認を受けた場合のみ開催が可能です。

2. バーチャルオンリー型株主総会を実施するための条件

産業競争⼒強化法によって、バーチャルオンリー型株主総会の開催も認められはしたものの、開催前にはクリアしなくてはいけない条件がいくつか存在します。
以下に一例を紹介します。

  • 通信の⽅法に関する事務の責任者を設置すること
  • 通信の⽅法に係る障害に関する対策についての⽅針を策定すること
  • 通信の⽅法としてインターネットを使⽤することに⽀障のある株主の利益の確保に配慮することについての⽅針の策定

上記は『産業競争⼒強化法』の文言をそのまま引用しているので、非常に難しい表現になっています。
簡単に言い換えると「通信に関する責任者を配置し、通信を適切に実施できるような準備と、トラブル発生時の手順の作成をすること」となります。

つまり、リアル株主総会でできていた双方向性のコミュニケーションをオンラインでも確実に実施できるようになって初めてバーチャルオンリー型株主総会が開催できる、ということです。

さらに、これらの条件を満たしていることを、経済産業大臣と法務大臣に確認してもらう必要があります。
上記について、次項で詳しく解説します。

3. 必要な手続き

「場所の定めのない株主総会(バーチャルオンリー型株主総会)に関する制度」において、バーチャルオンリー型株主総会を開催するためには、次のステップが必要とされております。

  • 事前相談
  • 正式申請
  • 両省における審査
  • 確認書の交付

まずは、定められた確認申請書フォーマットに必要事項を記入し、経済産業省の問い合わせ窓口まで事前相談を行います。
この時、申請者の定款の写しや申請者の登記事項証明書なども必要になります。

相談が完了すれば、PDF形式の書類として両省に正式申請を行います。
両省で審査後、問題がなければ両大臣の確認が得られ「確認書」が交付されます。
※審査では申請書に対する質疑応答なども行われることもあり、約1カ月程度は必要となるでしょう。

事前相談でも1~2カ月程度の期間が必要となる可能性もあるため、バーチャルオンリー型株主総会を開催することを検討されている場合は、余裕をもって準備しておく必要があります。

バーチャル株主総会を開催する時の注意点

バーチャルオンリー型株主総会を開催する際、以下の機能に注意しなければなりません。

  • 通信の安定性
  • 出席者の本人確認
  • オンライン参加者の操作性

通信の安定性

バーチャル株主総会では通信の安定性がとても重要です。

株主総会中に通信が不安定になれば、議事を適切に残すことができませんし、システム障害が発生してしまうと、双方向のコミュニケーションが成り立たず、決議を執り行うことができなくなることも考えられます。

このようなことにならないために、回線速度が速く、接続が安定しているサービスを利用する必要があります。

また、動画配信に慣れた社員がいない場合、しっかりと運営をサポートしてくれる動画配信サービスを利用することが望ましいでしょう。

出席者の本人確認

リアル株主総会と同様に、バーチャル株主総会では出席者の本人確認が必須です。

株主総会での決議は株主のみが保有している権利で、第三者が本人になりすまして議決権を行使してはいけません。

そのため企業側は、アクセスするURLとIDとパスワードを別々に送ったり、議決の際には本人の個人情報を入力させたりすることで、本人確認を行う必要があります。

バーチャル株主総会を開催する際には、このようなアクセス制限を設けられる配信サービスを利用する必要があります。

参加者の操作性

日本全体でバーチャル型株主総会は普及しておらず、株主も慣れていない方がほとんどのため、操作性が良いサービスを使うことが重要です。

株主の中には高齢の方やデジタルツールに疎い方もいることが考えられ、オンラインでの操作に戸惑うこともあるでしょう。

そのため、出来るだけわかりやすい操作性の配信サービスを使うことが重要です。

また、アクセス方法から質疑や議決の際に行う操作方法についての説明資料や、電話での問い合わせ窓口等の準備をしておくと良いでしょう。

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さて、ここまでバーチャル株主総会について解説してきましたが、バーチャル株主総会を開くには、配信途中で映像が途切れたり遅延することがない、安定した動画配信システムが必要不可欠です。

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また、セキュリティ対策も万全なため、外部に漏れてはいけない情報の流出を防ぎ、当記事で紹介した注意点を解決しながら、バーチャル株主総会をスムーズに開催することが可能です。

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